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はじめにコンセプトから考えること(コンセプトドリブン)の落とし穴

更新日:2023年12月4日

コンセプトを中心に事業を考えることをコンセプトドリブンと呼んでいます。コンセプトドリブンは特定の場合には機能するかもしれませんが、一方で取り返しのつかない失敗を生む危険性があります。そこで今回は企画当初にコンセプトから考えることの落とし穴を説明します。

コンセプトドリブン

 

コンセプトドリブンの失敗例

ところで、当社も10年以上前に飲食店を起業する際に、起業・創業のための本や商工会議所の窓口相談などでコンセプトを考える重要性を学んできました。そうして考えたコンセプトが2年目にはメニューから全くなくなっていました。当初のコンセプトが薄れていくのとは反対に売上は伸び、周辺住民の認知度も高まってきました。新たに明らかになった顧客ニーズに対応し、サービスを変更していく中で、店舗の看板や名刺、HPは何度も作り変えることになりました。


別の例もあります。あるイベントを企画するメンバーとして参加した時のことですが、イベント実施日までの期間が短く、早急にイベント内容を決めて取り組まなければいけない状況でした。他の多くのメンバーもイベント内容を決めたい思いで一致していたのですが、イベントコンセプトを先に決定することになりました。イベント実施の目的は概ね共有できているものの、コンセプトとなるとメンバー間でも考え方に違いがあり、なかなかまとまることはありませんでした。結局、3ヶ月ほどかかってコンセプトを決めた時には、すでにイベント内容にかける時間は少なく、広告宣伝も不十分になってしまいました。


コンセプトから考えない、とすると

もちろんコンセプトから考えて成功している企業もあるのかもしれません。しかし、これまで創業支援をした経験から、コンセプトにこだわっているせいで、なかなか売上が上がらない事業者を多く見てきました。また、創業計画を策定する際には、コンセプトに対するこだわりが強すぎて、収益性や顧客ニーズを無視している計画を立てようとする事業者も少なくありません。


当社では、もちろん、創業者の想いを蔑ろにすることはありませんが、「ビジネスとして継続できる」「数年先の事業の成長を見通すことができる」ことを相談者にはしっかりと意識してもらうことにしています。


相談の場面では、コンセプトよりもどうやってお金を稼ぐか(マネタイズのポイントはどこか)、や市場の動向や市場規模、自社の強みなどを考えたり分析したりします。コンセプトばかり考えていると、机上の空論になりがちで、作成した事業計画は金融機関には評価されず融資も決まりません。


当社の相談場面では、コンセプトから考えず、収益計画や市場調査、今後の事業の展望などから考えることが一般的です。


 

コンセプトドリブンによくある落とし穴

前置きが長くなりましたが、本記事のテーマであるコンセプトから考えた場合の落とし穴を紹介します。


1.できることとやりたいことのギャップが大きくなる

コンセプトから考えると、「こうなりたい」「こんなことがしたい」という想いが先行しがちです。


一般的に「できること」と「やりたいこと」の間には大きな溝があります。もちろん「やりたいこと」に挑戦することは素晴らしいことですし、私自身も企業の「やりたいこと」の実現を支援する立場でもあります。しかし、実際はさまざまな制約があります。時間、お金、人材、法律、立地、設備など、さまざまな制約の中で選択をして、経済活動を行っています。


なんの制限もなくやりたいことができるなら、もちろんやってもらいたいですが、現実はそうではありません。以下のように、経営者の「想い」だけで取り組んだ事業には失敗がつきものです。

  • 「やりたいこと」に手を出したために、本業の収益に大きな影響が出て事業を縮小することになった

  • 経営者の「昔からやりたかった事業」を立ち上げたが、従業員が付き合わされる形になり、離職が進んだ

  • 「やりたいこと」を実現するために、計画を立てて投資も行ったが、行政の認可が下りずに頓挫した


コンセプトを考えると、「こうなりたい姿」を想像しがちです。そして「やりたいこと」を膨らましがちです。しかし、地に足がついていない妄想のような計画は失敗してしまいます。自社のリソースで実現できるのか、実現にあったっての障害はないかなど、十分に精査する必要があります。


2.顧客ニーズや事業環境を無視したサービスを考えがちになる

コンセプトを考えて、それに沿って事業を考えていくと、顧客ニーズや事業環境を無視した事業内容になりがちです。


例えば、こんな状況を想像してみてください。あなたは創業者でこれまでの一流料理店での料理経験を活かして、和食の概念を覆すような飲食店を出店しました。1ヶ月経った時の地域の住民の声が次のようなものだったとしたらどうでしょうか。


『新しく飲食店ができたらしい。私たちにとっては気軽に使える定食屋があればいいと思っていたが、実際できたのは創作和食料理店でランチ営業もやっていない。夜はお任せディナーコース10,000円からとなっている。ディナーに10,000円も払う文化がここらへんの人たちにはなく、普段はガラガラだが、たまに遠方から客が来ているようだ。』


事業を成功させるには、いいコンセプトを作ることではなく、顧客ニーズに対応しつつ、周囲の環境や社会情勢に合わせていくことが重要です。コンセプトに縛られて、ニーズを無視したり、顧客へのサービスが不十分になって顧客が離れたりすれば本末転倒です。


顧客ニーズや事業環境を調査することはビジネスの基本です。


3.協力者が集まりにくい

コンセプトを考えていると独りよがりになりがちです。自分の考えが1番いいと錯覚することもあるでしょう。そうして考えられたコンセプトに共感できる人が果たしてどのくらいいるでしょうか。


会社のコンセプトに共感してくれる人なんてほとんどいません。むしろ自社のコンセプトを知っている人自体、全くいません。多くの企業や経営者は何に共感しているのかというと、経営者自身の人柄や考え方に共感しています。まず経営者自身を紹介し、知ってもらわなければいけない「場」で、自社のコンセプトを語るのは大きな機会損失であり、協力者を得られるはずの「場」を逃していることにほかなりません。


逆の立場になってみましょう。ある企業のプレゼンを聞いて、「立派だな、素晴らしいコンセプトだな」と思ったとしても、実際に経営者や事業責任者と対面して話をしてみない限り、何か事業協力をすることはないですよね。どんなに優れた企画であっても結局は人付き合いで決まることも多くあります。


創業期や新事業の立ち上げ期には周囲の方々の協力は必要不可欠です。自分が考えたコンセプトがいかに優れているかをアピールするよりも、もっと大切なことがあるはずです。コンセプトは脇に置いて、自己紹介から始めましょう。


 

まとめ

このようにコンセプトから考えると、うまくいかない場合が非常に多いです。もちろんコンセプトから考えることを全否定するわけではありませんが、コンセプトを考える際には落とし穴に注意しながら取り組んでいくことをお勧めします。


当社では創業や新規事業の計画策定の支援を行なっています。特に誰にも理解されなかったような事業のアイディアを、言語化して事業計画に落とし込むことに強みがあります。新しいことに取り組みたい経営者の方はぜひご相談ください。

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