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コンセプトを大切にして失敗する業種

コンセプトドリブン

様々な現場で経営相談を受けていて、最もよく感じることの一つに、飲食店の経営は難しいというものがあります。私も飲食店を経営していたことがありますが、もちろん全然儲かっていませんでしたし、振り返ってみるとひどい経営をしていたなと思います。


コンセプトを中心に据える特殊な業界=「飲食業」


飲食店が他の業種と際立って異なる点は、経営者の価値観が非常に強く表れている点です。経営者自身が顧客目線に立って、「こんな飲食店があったらいい」を形にしたのが自身のお店になっていることが多いです。


そのため、顧客ニーズや経営の基本はしばしば脇に追いやられて、自分の考える最高のお店に近づける(維持する)ことが目的になっていることが非常に多いです。どんなお店にしたいか、というのはまさしく「コンセプト」のことで、このコンセプトを中心に据えて事業を進めていくことを、私たちは「コンセプトドリブン」と表現させていただいております。


飲食業では「プロダクトアウト」が主流


飲食業は他の業種と違って、お客さんから細かい注文を受けることはありません。お客さん側の目線で考えると、初めての店や初めて注文するメニューの場合、どんな味かも分からないし、どんな食材を使っているかも詳細には分からない状態で注文しています。


飲食業は思った以上に「プロダクトアウト」の事業で、さもそれが当然のように考えられている特殊な業界です。「自分の美味しいと思う料理を食べてほしい」というものすごく独善的な価値観を商売に持ち込んでいて、一部それが成り立っているという不思議な業界です。しかしこの考え方は「経営者」の考え方なんでしょうか?


飲食業経営の基本


少し話は脱線しますが、飲食店で重要なことは客席数と回転数です。残念ながら普通の人は1日3食しかご飯を食べません。カフェタイムを入れても4食、夜食を入れても5食です。1日のうちに飲食店がサービスを提供できる機会は最大で5回(普通は1〜2回)です。この5回(普通は1〜2回)のチャンスに何人のお客さんを店に入れることができるのかが、このビジネスモデルの肝です。


例えば席数が10席で着席から退店までに1時間かかる場合、ランチタイムであれば10人しか料理を提供できません。そこで考えなければいけないことは、「席数を15席に増やせるかどうか」や「提供時間を10分短縮できるか」などです。この考え方の元となるのが、客席数と回転数です。


飲食業に詳しい人であれば、「客単価を変えることもできるんじゃないか」と考えるかもしれません。しかしほとんどの飲食店経営者は値上げを嫌います。もちろん客離れを気にしているのもありますが、創業当初から価格を維持したいという「お店のコンセプト」にこだわっている経営者も多いです。


また、外食産業は私たちが最も身近な業界であり、それぞれが強い相場感を持っています。客単価の設定を変更するより、いわゆる「構造」を変える方が簡単で効果が高いのです。そういうことから、客席数と回転数が重要なんです。


コンセプトへの執着と経営努力


このような話になると、「回転数って言っても、うちはお客さんにゆっくり食事の時間を過ごしてもらいたいんだ」とか「丁寧に作っているんだから提供に時間がかかるのは当たり前。お客さんも理解してくれている」などと言う人が出てきます。これがコンセプトへのこだわりです。経営視点からすると、「1日に1〜2回しか得る機会がないんだから、その機会を逃さずに多くの人にたくさんの料理を提供しよう」となるのが当然です。お客さんの都合やお客さんの優しさに甘えて、本来やるべき経営努力を怠っている経営者が飲食業界には非常に多いこと!


他の業界を見ると、いかに品質を落とさずに早く商品・サービスを提供できるかにこだわっています。製造業であればQCDと言って、品質(Q)価格(C)納期(D)について取り組んでいくのは当たり前のことです。(飲食業でも売れてる店ほど提供速度が早いはずです)


コンセプトドリブンは経営ではなく単なる自己表現


私も昔、カフェを経営していたことがありました。自分の美味しいと思う料理を心地よい空間で楽しんでほしい、そんな思いで店づくりをして、日々営業をしてきました。しかし今になって思うのは、それは単なる自分のやりたいことをやっていただけで、「自分の夢の実現」や「自己表現の一環」でしかなかったように思います。


このような考えでは経営は成り立ちません。自分の夢を乗せた「コンセプト」ではお金は稼げないのです。お金を持ってくるのは「顧客(ターゲット)」です。ターゲットを考えて、そのニーズに合った商品・サービスを企画して提供すること、これが当たり前の順番です。コンセプトから始めると、メニューを考えて、立地や箱を考えて、顧客を設定する、というまるで逆の方向で事業を考えることになります。これは非常に経営視点から離れた考え方です。


コンセプトが必要ないかというと、そこまで言い切るわけではありませんが、ターゲットの設定よりもコンセプトの優先度が高いかというと、全く違います。コンセプトを大切にすると、その立地や箱に合わないサービスを提供することになって全く流行らないだけでなく、仮に集客できたとしても利益を確保できない構造になっていた、ということは容易に想像できます。実際にそういうお店は少なくありません。


コンセプトではなくターゲットを重視しよう


これから飲食店を創業したいと考えている方や、現在飲食店を経営しているがうまくいっていないという方は、今一度経営視点に立って、ターゲットを設定して、ニーズに合ったサービスを提供するよう心がけることをお勧めします。と言っても、ターゲットを設定するのは簡単ではありません。小一時間考えて決まるようなものではありません。


手前味噌ですが、ターゲットの設定について考えがまとまらない場合や、「ターゲットってなんだ?」という場合には当社にご相談ください。

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