目次
・人手不足といってもうまく対応できている中小企業は少ない
・人手不足を採用コンサルタントに相談してみたらどうなるか
・中小企業は求職者に何をアピールするのか
・中小企業の人手不足への対応方法
人手不足といってもうまく対応できている中小企業は少ない
経営相談の現場で必ずといっていいほど話題になるのが、人手不足の問題です。採用しようとしても応募がない、入社してもすぐ辞めてしまう、自社の業務に合う人材が集まらない、など、企業が抱えている人手不足も一言ではまとめられないほど様々な状況があるようです。
人手不足と人材不足は異なる、という意見もありますが、人材が不足しているというのは、いわゆる管理職の能力不足やモチベーションに関連する問題です。管理職=プレイングマネージャーの問題や、管理職になりたがらない若手が多い問題は、規模の大きい企業で起こっています。一方で管理職を置くほどでもない中小企業においては人材不足ではなく、もっぱら人手不足が問題になっているように感じます。
人手不足を採用コンサルタントに相談してみたらどうなるか
コア人材が育たない問題はまた別の機会に話をするとして・・・、人手不足の問題をコンサルタントに相談すると、週休2日にした方がいい、定時退社が原則、有給はMAXで与えろ、などなかなか中小企業では難しい要求をされるようです。確かに、いわゆるホワイト企業のような福利厚生を求める若者は多く、休日労働は当たり前、残業代も出るのかわからないような企業に勤めたい若者はごく少数だと思います。
では実際に多くの中小企業がそのような待遇を提供できるかというと、全く難しいのが現実です。採用に困っている経営者に、採用コンサルタントの要求を実施できるか聞くと、できない、できるわけない、という答えが返ってきます。
中小企業と大企業の採用力の差は著しく、絶対に埋まらない
大企業や中堅企業(いわゆる大手企業)と中小企業の違いは様々ありますが、最も大きい差は採用力だと思っています。労働者の市場において、同一の労働に対価をつけるときに、中小企業は大手企業に圧倒的な資金力で負けてしまう構造が起こっています。
大手企業が賃上げを行うことで、中小企業に就職する若者はさらに減少し、中小企業は人手不足により事業を維持できなくなり廃業に向かいます。
中小企業の新陳代謝が進んでいくことは悪いことではありません。本来、企業の規模を大きくし、生産性を上げていかなければならないのに、元請けへの価格交渉などの経営努力をせずに従業員の給料を実質下げているような経営者は、確かに自身の経営を見直していく必要があります。
中小企業は求職者に何をアピールするのか
中小企業には大手企業が参入できない規模で、地域的なニーズに対応している事業者が一定数存在し、地域にとってはなくてはならない存在になっていることが多くあります。
また大手にはない仕事の裁量の多さも考えようによっては魅力となります。広報活動や新規事業立ち上げなど、大手では一部の社員しかできないことが、1年目から担当できることもあります。
中小企業の中には、業務が硬直していて、なかなか新しいことに取り組めないことや若いアイディアを取り入れられないことも多々ありますが、最近の若い世代の考え方がこれまでとあまりにも異なるので、逆に諦めて好きにさせようとしている企業も増えてきているように感じます。
給料や福利厚生では大手には勝てないので、その上でどういう魅力を提示していくのかを真剣に取り組んでいくことが、本当の意味での採用戦略です。大手の採用方法を取り入れても大手に行きたい就職希望者を惹きつけることはできません。
中小企業の人手不足への対応方法
私が経営支援をしている中で、いい企業だと思う企業は設備投資やIT活用に積極的に取り組んでいます。技術はどんどん進歩しています。若い世代は切符を切って電車に乗っていた時代を知りませんし、ビデオテープを巻き戻してレンタルショップに返却していた時代も知りません。私たちの古い感覚で仕事をすることに強烈な違和感を感じるのが若い世代です。
採用方法や福利厚生などを見直す前に、業務内容や作業方法を見直していくことは、間違いなく採用に効果があり、離職率の低下にも繋がります。
人手不足解消のための業務改善やIT化について、一度考えてみることを強くお勧めします。
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