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執筆者の写真福田結愛

新規事業で飲食店を始めるときに注意しておくこと

ある程度事業が軌道に乗って、経営にも余裕が出てきたときに経営者が考えるのが、「飲食店でも始めようか」ということです。飲食店には何か魅力があるようで、新規事業というと飲食店をしたいという経営者が多いです。


余談ですが、会社の定款を見ると、予定もないし人材もいないのに事業目的に「飲食店の経営」や「経営コンサルティング」と書いている会社もあります。会社の理念や事業ドメインなどが全然定まってない会社だと思われるので、やめた方がいいなと常々思っています。


今回の記事では、新規事業として飲食店を始めようとしている経営者の皆さんに向けて、飲食店へのコンサル経験の多い当社が、飲食店を始めるときの注意点を説明します。


注意点1:飲食業界に詳しい経営コンサルタントと一緒に事業計画を立てること


経営コンサルタントに相談する飲食店の経営者

参入障壁が低く見える飲食店だが、実は違っている


新規事業で未経験の分野に進出する場合は、失敗するリスクが非常に高くなります。業界に詳しくないので、何をすればいいのか本当にわからないため、普通の経営判断では未経験の分野に進出することはありません。しかし、飲食店は、「なんとなくできそう」と思われるほど参入障壁が低い業種です。周りの飲食店経営者も軽い気持ちで始めてる方が多いので、自分もなんとなくできそうだと考えてしまいます。


ちょっと冷静になれば、簡単にできる事業なんてありません。人を雇って家賃を払えば固定費が毎月かかってきます。売上が目標に届かなければ、本業を離れて飲食店の店頭に立って、自らが営業しなければいけません。こういったことを想定せずに、店とメニューだけ考えればできるだろうと思わせてくれるハードルの低さが飲食店にはあります。製造業と比較してみると絶対にそんなふうに思わないでしょう。


お金を持ってそうな会社に近づいてくる人をどこまで信用するか

新規事業で飲食店を始めたいという経営者を周りの人はどう思うでしょうか?「事業が成功してお金が余っているんだな」「趣味で事業を始めたいんだな」などと大抵の人が思うでしょう。このように思われているのに、新規事業について真摯に提案してくれる人がどのくらいいるでしょうか。


本業で儲けている会社に飲食店の開業を進めてくる人たちは、たいてい無責任なことを言ってきます。「儲かってるからいいよね」といったスタンスで、かなり雑な見積もりや計画を出してきます。これはいわゆる「かもられている」状況です。そして、話のほとんどが「こういう飲食店があったらいいよね」という内容に終始して、経営者の夢の飲食店の構想が広がっていくのです。このコンセプトを追いかけて失敗する例については別のブログで紹介しているので、また読んでみてください。


新規事業で飲食店を始めるときには、まず事業計画を作ることが大切

飲食店に限らず、事業を始めるときには売上、経費、利益などの収支計画を立てることが必要です。まず、いくら売り上げて、いくら利益が出るのかを考えてみることが大切です。飲食店の売上の計算方法は、次の式で求めます。

売上 = 客席数 × 客単価 × 回転数

この売上から経費を引いた利益が年間でどのくらいになるのかを計算し、最初に投資した金額をいつ回収できるのかを計算します。最低限ここから始めないと、新規事業に取り組んではいけません。

事業計画を立てる人

事業計画を立てるには飲食店に詳しい経営コンサルタントに依頼する

これは提灯記事でもなんでもなく、事業計画を立てるときに飲食店に詳しくないコンサルタントに依頼すると大変なことになるという話です。


具体的にどんな問題があったかというと、

  • 動線が考えられていない店舗を作ってしまった

  • 地域のニーズに全く合っていないメニューを作ってしまった

  • 導入した設備が無駄に高く、初期費用が高額になってしまった

  • 本来飲食店に必要な設備(グリストラップ、電気設備、吸排気設備など)が考慮されていなかった

  • 想定した売上を達成することが物理的に不可能な客席レイアウトであった

など、例を挙げたらキリがないほどです。(これ以上具体的に言うのは守秘義務上よくないので、適度にぼかしています。)


やり直しが効かない飲食店の立ち上げ

飲食店のコンサルティングは難しいとは思わないのですが、製造業と似ていて、一度設備を入れると、レイアウトの変更が難しいことや業態によって必要とする設備が異なることを踏まえると、確かに簡単に設備を入れて内装を作ればいいと言うわけではありません。


厨房の広さによって作れるメニューや一度に対応できる客数が決まってくるので、厨房が客席数に対して狭い時点で、回転数は伸びず、なかなか料理が出てこないことで客足も離れてしまいます。厨房は店を作った後では大きくすることができないので、リニューアルするか移転するかしか方法はありません。


一度作ったらやり直せないのは、厨房だけではありません。客席や動線、店の入り口も同様です。開店してから気づくことも、もちろんあり、全部が全部想定通りにはなりませんが、大きな失敗を減らすためにも、飲食店に詳しい経営コンサルタントに事業計画を依頼することが非常に重要です。


注意点2:完全未経験で始めずに、同業態の飲食店で修行する

飲食店で修行する人

新規事業で飲食店を始めるとき、新たに店長を雇って店の運営を任せるといったケースがあります。これ自体が間違いとは言い切れませんが、新たに雇った店長に任せた店がうまくいかなかったとき、どうするか考えていますか?また、もし店長が辞めてしまったら、どうやって引き継ぎを行いますか?


未経験だと改善点がわからない

経営者が未経験のまま、店長を雇って飲食店を始めた場合、その飲食店が軌道に乗らなかったとき何をすればいいのか、何が悪いのかがわかりません。「飲食店の始め方」のようなマニュアル本を読んで、なんとなく知った気になって原価率を下げたり、メニューを絞ったりすると、かえって客が来なくなるのはよくある話です。


未経験だと飲食店の基本がわからない

儲かっていない飲食店の共通点は、基本ができていないことです。従業員の衛生観念がない、飲食店の接客ができていない、決済方法が現金のみ、ドリンクの種類が少ない、オペレーションが悪い・・・などなど、有名チェーン店やFC店で当たり前にできていることができていない店にはお客が来ません。


目標を明確にして修行することが大切

まずは、飲食店の基本を知るために修行をすること、これが当たり前で大切です。では何年修行すればいいのかというと、人によって違うと思います。目標を定めて、達成できた時点で修行を終了すればいいので、半年でも1年でも構いません。


注意点3:「どういう店を作りたいか」より「稼げるかどうか」にこだわる


本業で利益を上げている経営者であれば、自分のやりたいことをやるだけでは稼げないことは十分理解しているはずです。しかし、飲食店を始めるとなると、なぜか理想のお店づくりを始めてしまう人が多いのは残念なことだと思っています。本来経営者が考えることは稼げる店にするにはどうするかです。(もし稼げるかどうかを考える過程で、「飲食店って儲からなくないか?」と思ったら、一度止めることも選択肢です。)


オーナーシェフと経営者の違い

オーナーシェフと呼ばれる、飲食店のオーナー兼料理長は自分の料理に自信を持っており、自分の料理を食べてもらうことに喜びを感じる人たちです。この人たちは、稼げるかどうかは二の次に思っている人も非常に多いです。そのため、実際に経営相談に乗っているときに「もっと合理的に事業を見直せば今よりも儲かるのに・・・」と思うことが多々あります。


しかし本業が飲食店以外にあり、別事業として飲食店を始めるような経営者には、そこまでの熱い想いがありません。これは経営の面から考えると非常に大きいアドバンテージです。自分の料理にこだわりがない分、顧客に売れるサービスを作ることに集中でき、結果的に最短経路で事業を軌道に乗せることができるからです。また事業を小さく始める必要もないため、最初から稼げる仕組みを作ることができます。


投資を十分にして設備を整え、数字にこだわれば飲食店は成功する

飲食店を成功させる秘訣は、十分に設備投資をすることと、数字にこだわることです。他の事業では当たり前のことですが、飲食店になるとできない店が多いのが実態です。経営者としてのこれまでのノウハウと知識を活かしながら、なんとなくで始めるのではなく、しっかりと計算した上で始めることで、新規事業の成功がぐっと近づきます。


儲かっている飲食店

新規事業で飲食店を始めるときに注意することのまとめ

これまでいくつか注意点を挙げましたが、まずは飲食店に強い経営コンサルタントを雇うことでかなりの問題は解決します。飲食店の内装を作ってからでは遅く、撤退か大規模改装以外の打ち手がなくなるので、飲食店を始めようかなと思いついた段階で相談することをお勧めします。




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