個人経営のカフェが儲からない本当の理由は客席数

虎大郎 福田

個人経営のカフェが儲からない理由は、客席数です。客単価が低いからでも、回転率が低いからでもありません。席が少ないことで、売上の上限が低く、人件費の割合が構造的に高くなっています。

カフェは儲からない、という話は、飲食店を支援している金融機関様やコンサルタントなら知っています。回転率が低く、客単価も低いからだと説明されます。では、スターバックスはなぜ成り立っているのでしょうか。同じカフェで、回転率も客単価も飛び抜けて高いわけではありません。ここを考えると、個人経営のカフェの問題がどこにあるかが見えてきます。

スターバックスとコメダ珈琲店の比較

スターバックスの立地は、ロードサイド、ショッピングモールの中、駅ビルの中とさまざまです。ロードサイドの店は客席数が40〜50席ほどあり、ドライブスルーを備えています。モールの中の店は50〜60席くらいが多く、ほかのカフェより店舗の面積が小さいこともあります。おおむね50席前後で、テイクアウトとドライブスルーに対応しているのがスターバックスの特徴です。店内での回転率の低さを、持ち帰りの売上で補っています。

反対に、テイクアウトに力を入れていないカフェとして、コメダ珈琲店があります。コメダ珈琲店はドリンク以外のメニューにも力を入れていて、客単価を上げる工夫をしています。客席数は100席を超える店舗が多く、ドライブスルーがない分、スターバックスより大きな店舗になっています。

二つの店は、やり方は違いますが、どちらも「席数で売上の上限を確保している」点は同じです。

個人経営のカフェは20席に満たない。席数は売上から逆算した数字ではない

カウンター席だけの小さなカフェ

個人経営のカフェはどうでしょうか。多くは20席に満たない店で、ドライブスルーはまずなく、テイクアウトに力を入れているところもあまりありません。

この20席という数字は、売上の目標や利益から逆算して決めた数字ではありません。創業者が借りやすい家賃の空きテナントの面積で決まった数字で、その面積に入る最大の席数がたまたま20席だった、というのがほとんどです。

つまり個人経営のカフェは、スターバックスやコメダ珈琲店と比べて、客席数が3分の1から5分の1しかありません。お客様に選ばれている店と比べて、最初から売上を上げにくい構造になっています。儲からないのは、客単価の問題でも回転数の問題でもなく、単純に席数の問題です。

席数が少ないと、人件費の割合が構造的に高くなる

席が少ないなら、人も少なくすればよいと思うかもしれません。ここに飲食店の難しさがあります。

仮にスターバックスのシフトを4人とします。個人経営のカフェが客席数に合わせてシフトを3分の1に減らすと、1.3人になります。実際には一人で回すことになります。20席を一人で回すのは、注文を受けて、作って、運んで、片付けて、会計をして、では現実的に無理です。接客もできなくなります。

だから個人経営のカフェは、席数に対して人を減らしきれず、2人で回すことになります。売上の上限は50席の店の3分の1なのに、人件費は半分です。この時点で、スターバックスより人件費の割合が高くなります。

席が少ないことで、売上の上限が下がるだけでなく、人件費の割合が構造的に上がります。これが、個人経営のカフェが儲からない仕組みです。

カフェの適正な客席数は50〜100席

客席数に余裕のあるカフェの店内

国内で成功しているカフェを見ると、カフェという業態の適正な客席数は、50〜100席の間だと考えられます。テイクアウトやドライブスルーがない店内飲食が主体の店なら、100席に近づきます。

店内飲食が主体で、20席ほどの店で全国に展開しているカフェがあれば、この見方は間違っていることになります。私の知る限りはありませんし、仕組みとして成り立つとも考えにくいです。

カフェに限らず、飲食店には業態ごとに利益が出る客席数と人員の組み合わせがあります。借りやすいテナントの広さから席数を決めるのではなく、成功している店の席数と人員から計画を立てることが、カフェを続けるための出発点です。


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