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地方の中小企業が最初に取り組みたいIT化とは

執筆者の写真: 福田結愛福田結愛

地方の中小企業にとって、人手不足は大きな課題であり、経営相談時には必ずと言っていいほど話題になります。物価高騰や賃上げ要請などの状況は都心部でも対応に苦慮していることとは思いますが、地方ではこれに加えて人口減少や人材の流出といった問題も加わってきます。


もちろんこのような状況で期待されるのはIT化やDXによる省力化ですが、先ほど挙げた人材流出により地方にはIT人材が不足しており、中小企業(特に小規模事業者)にはIT化やDXを積極的に進めていける体制が整っていない印象です。


一方で、県などの自治体や商工団体、金融機関などの支援機関は、中小企業のIT化・DXを推進する役割を担っているものの、支援する側のITに対する理解が乏しく、なかなか効果的な支援になっていないのが現状です。


中小企業の内部にも、そして外部にもIT化に対する適切な人材が不足しているのが、今の地方の現状となっています。


地方の中小企業のIT化

そこで、今回の記事では、中小企業のIT化の支援だけでなく、公的機関のIT化・DXのセミナーや研修を請け負っている当社から見た、地方の中小企業がまず最初に取り組みたいIT化についてお話しします。

 

目次

  • なぜIT化に取り組まなければいけないのか

  • 地方企業の多くの経営者に足りないこと

  • 取り組みたいIT化とは

  • 導入するべきツール


 

1. そもそも論:地方の中小企業はなぜIT化に取り組まなければいけないのか


IT化に取り組む理由


IT化に取り組む必要があることは多くの経営者は理解していると思います。私も経営相談の場面で、IT化の必要が全くないと考えている経営者に出会ったことはありません。しかし、IT化の必要があるとはいえ、IT化のために費用や労力をかけることはしたくないと考えているようで、やらなければいけないんだけどやりたくない、という「小学生の夏休みの宿題現象」が起こっています。


IT化に取り組む理由は、いくつかあります。


  • 顧客ニーズに応えるため

  • 作業時間を短縮するため

  • 経費を適切に管理するため

  • 若い従業員の働き方に対応するため

  • 法改正に対応するため


例えば、飲食店でランチタイムに混雑している場合は、オーダーの取り方をデジタル化したり、入店案内を自動化したりするだけでも提供時間は早くなり、顧客の満足度は上がります。また、製造業では発注内容をデータ化し分析することで、稼働率を平準化することができたり、原材料仕入れを適切にすることができます。


IT化に取り組む理由はいくつもありますが、経営コンサルタントの立場から挙げるとするならば、「IT化すると儲かる」というのを1番の理由としたいと思います。


稼げるIT化

実はIT化すると儲かる


IT化すると儲かる、という意味は、IT化して業務効率化することで経費削減できるという意味だけではありません。リードタイムを短縮することで受注を増やして売上を上げることができるという意味もあります。経費を削減しつつ売上も上げることができる、これがIT化すると儲かる理由です。


さらに、現状の営業や販売状況をデータ化し分析することで、顧客の需要に応えた営業やサービスの開発が可能になり、既存顧客の掘り起こしや新規市場開拓にも繋がります。このようにITをうまく活用することで企業の稼ぐ力は飛躍的に向上するのです。


 

2. 地方企業の多くの経営者に足りないこと


財務面に弱い経営者


経営者はその道のプロフェッショナルです。事業についての知識やノウハウは、私たちコンサルタントよりも当然豊富に持っています。また行動力がある経営者も多く、物凄いスピードで事業を進めていくこともあります。


事業に取り組むのは優れている一方で、これまで私が経営支援をした経験から感じることとして、多くの経営者は数字面、特に財務面に弱い傾向があります。直近月や前年度の売上が分からなかったり、原価率を把握していなかったり、営業利益と経常利益の違いを理解していなかったりなど、数値や指標についての理解関心がない方が多くいらっしゃいます。


経営層にこのような数字に強い役員がいればいいのですが、なかなかそういう企業も多くありません。財務面の知識がないことで、利益が確保できなかったり、設備投資が遅れて受注を逃してしまったりと、経営に大きな影響が出てしまいます。


税理士に丸投げしても経営は良くならない


財務面に弱い経営者にありがちなのが、税理士に丸投げしているケースです。しかし私が見る限り、企業の財務状況について適切に助言している税理士はいません。よく私に「税理士が何もしれくれない」という愚痴をこぼす経営者がいますが、税理士は税務を担当しており、その点においては十分仕事をしています。


税理士の仕事は財務面のコンサルティングではありません。また多くの税理士はコンサルティングサービスを提供するほどの報酬はもらっていないはずです。税理士に文句を言っている経営者は、本来経営者が果たすべき責任を税理士に丸投げしようとしているだけなのです。


「目標を決める、日々の数値を確認する、対策をとる」


経営者がやることは、自らが目標を決めて、その目標に対して現状がどうなっているのかを確認し、もし達成していない場合は何か対策をとることです。これは経営者が責任を持ってやるべきことで、このPDCAができていないと経営はうまくいきません。



 

3. 地方の中小企業が取り組みたいIT化とは


ちょっと話が脱線しましたが、私がお勧めする「まず取り組むべきIT化」は財務会計の効率化アプリの導入です。


経営者が財務状況を把握できていない状況を作っているのが、売上や経費の計算を自分(経営メンバー)でやっていないという問題です。そこで、財務会計アプリを使うことで簡単に売上や経費を入力して、リアルタイムに財務状況を把握することを、まず第一にお勧めします。


このツールを導入することでできることは、


  • 経理処理の自動化

  • レポート・決算書の作成

  • 銀行口座との連携

  • 請求書の自動作成・送付


などで、これまで自社で対応するのが手間だったことが簡単にできるようになります。


もちろんそのほかにも取り組むべきIT化はあると思いますが、まずは財務会計アプリを導入してみていただきたいです。今回の記事では書ききれなかったので、詳しくは経理業務の効率化についてまとめたブログを読んでみてください。↓



 

4. 導入するべきツール


財務会計アプリはいくつか種類がありますが、導入を検討する場合は次の3つから選ぶのが良いと思います。


  • freee会計

  • マネーフォワードクラウド

  • 弥生会計オンライン


これら3つは、機能が充実していることに加えて、他のアプリや金融機関との連携も優れています。利用料も徐々に値上がりしていますが、年間40,000〜60,000円ほどなので、アルバイトで経理担当を雇うよりも安い金額です。


それぞれのアプリで使い方が異なったり、画面の仕様が異なったりするので、使いやすいものを選んだら良いと思います。導入・運用のサポートは当社でも行なっていますので、相談ください。


 

まとめ


IT化というとなかなかハードルが高く感じる経営者や支援機関の職員もいらっしゃると思いますが、経営の根本である財務会計のIT化についてはそこまで難しくはないはずです。まずはそこから取り組みを始めて、財務状況を見える化した上で、次のステップに取り組むことがいいのではないでしょうか。


また、地方にはIT化が遅れた企業が多いのと同時に、ITベンダーも少ない状況になっています。特に岡山県の県北の支援機関からはIT化を進めたいけどITベンダーが不足しているといった声も上がってきています。このような状況下では、できるだけサービス力のある大手アプリを導入して、そのアプリのシステムに自社の業務を合わせていく方がうまくいく場合が多いです。独自のシステムを導入する前に、一度サブスクリプション型のアプリの導入を検討してみてください。


地方の中小企業が導入するITツール

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