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中小企業診断士の仕事とは(公的業務編)

中小企業診断士が何をしているのかよくわからないという声が聞こえてくるような気がするので、岡山にUターンして4年になる中小企業診断士の福田が仕事紹介をしようと思います。

(※どうせ中小企業診断士を目指す人か、試験に受かったばかりの人しか読まないんだから何か仕事に繋がることもないだろうと思いながらも、この記事もかなり上位に表示されるようになったので、もう少し詳しく書いてみようと思い、内容を追記しました。)


地方の中小企業診断士が撮影した後楽園の様子
岡山県の名所である後楽園

中小企業診断士といっても、資格を使わないような民間コンサルと同様の働き方をする方もいるので、今回は中小企業診断士資格を活用した公的業務のみに絞って記事を書いてみます。


ところで、中小企業診断士には、中小企業診断士の資格を使ってフルタイム勤務するケースがあります。具体的には、県や市などの自治体の採用枠として中小企業診断士資格取得者があり、そこで職員として働くケースや、産業振興財団などの第三セクターで働くケースがあります。今回の記事ではこのフルタイム勤務=就職するケースに関する説明は除いていますので、そこはご了承ください。


中小企業診断士の公的業務とは?

ではまず公的業務の種類を説明します。


公的業務を行う中小企業診断士

 

公的業務の種類(ざっくり分類)

  • 専門家派遣

  • 相談員業務

  • 補助金事務局業務

  • そのほか

 

公的業務はざっくりと分類すると、専門家派遣、相談員業務、補助金事務局業務、そのほかの4つに分けられます。そもそも公的業務とは何かというと、国や自治体から予算がついている事業の一部を業務委託されることです。実際に報酬を支払ってくれるのは業務ごとに異なりますが、元をたどれば国や自治体の予算から報酬が出ているというのが公的業務です。


そのため、公的業務には、国や自治体の方針によって内容が変わっていったり、その時の社会情勢や環境の変化によって求められるノウハウ・スキルが違うといった特徴があります。


公的業務を請け負い続けるには、時代に合わせて自らをアップデートし続けるという、なかなかハードな努力が必要になります。


公的業務の種類と内容について


 

1. 専門家派遣

専門家派遣とは

中小企業診断士の仕事で最も多いのが専門家派遣です。専門家派遣とは、中小企業を支援している公的機関が、中小企業の課題を解決するために適切な専門家を企業に派遣することです。


専門家派遣は中小企業診断士だけでなく、弁護士や社労士など他の士業が受けることもあれば、商品開発コンサルタントやデザイナーなどが受けることもあります。他の士業やコンサルタントに比べて、中小企業診断士が専門家派遣を受けるのには、計画策定支援ができるという面が大きいかもしれません。


専門家派遣の内容

依頼元の公的機関によって内容は様々ですが、基本的には事業所に訪問して、さまざまな相談に乗り、その支援結果を報告書にまとめて提出するのが専門家派遣の流れです。元となる予算や公的機関のルールによって、報告書の様式が異なったり、成果物が異なったり、単価が違ったりとちょっとした違いはありますが概ねやることは同じです。


ちなみに、主な専門家派遣を依頼してくれる機関は商工会、商工会議所、産業振興財団、保証協会です。一般的に専門家派遣では、相談企業の課題に対して適切な助言ができる専門家を選んで依頼するため、ある程度の専門性があった方が声がかかりやすいです。ちなみに専門家派遣だけで満足に食べていけるようになるのはかなり難しいと思います。


専門家派遣の単価

専門家派遣の単価は地域や公的機関によってさまざまで、岡山県だと時給1万円、日給3万円ぐらいですが、書類のやり取りや成果物の作成を考えると、楽に稼げる仕事ではありません。たまにすごく雑な報告書を書く専門家もいるようですが、その報告書は国や県に提出する報告書だと思ってください。公的機関の担当者が国や県に提出したくないような報告書を作成するのはやめた方がいいです。


 

2. 相談員業務

相談員業務とは

相談員業務とは、公的機関が設置している中小企業向けの経営相談窓口の相談員として勤務することです。一般的には、週に固定した日数だけ出勤して、予約のあった相談企業に対応するようです。


相談員業務も中小企業診断士の仕事としては一般的な仕事です。しかし、すべての診断士が職に就けるほどは募集がないため、タイミングと経歴がマッチした時に運よく得られるような業務です。相談員契約はかなり大きなミスをしない限りは更新され続けるため、相談員本人が辞めない限りは募集枠が空かない傾向があります。


相談員業務の内容

業務内容は、窓口に来た企業の相談に乗ることです。この業務の特徴として、窓口での対応しかできないことがあります。相談企業の様子が窓口に来た経営者や担当者からの話からしか想像できないので、実態が分からず対応がふわっとすることがあります。また窓口によっては相談企業の業種に偏りが出ることもあります。診断士としての成長の面では、さまざまな企業に訪問することで得られる経験ができないので、別の部分で補っていく必要があります。


相談員業務の単価

日給制で単価が安いので、比較的年数の浅い診断士が相談員として採用される場合もあります。これももちろん公的機関によってさまざまですが、日給2〜3万円ほどです。設置している機関は、商工会、商工会議所、産業振興財団、よろず支援拠点、各自治体などです。


 

3. 補助金事務局業務

補助金事務局業務とは、補助金や給付金の審査員として事務局に勤務する仕事です。主な業務は、補助金などの書類審査や申請企業への対応です。他の業務に比べて時給単価が高く、業務内容も単純なものが多いため、収入を得やすい仕事です。(単価は公表してはいけないという契約があったりする。)


しかし、中小企業診断士の本来業務とは大きく異なり、一般的な事務作業に従事することになるため、中小企業診断士としての経験やスキルを活かせるものではありませんし、中小企業診断士として成長することはありません。補助金事務局運営についてのノウハウを得ることができるという点においては、非常に貴重な経験ができると思います。


 

4. そのほか

公的業務ではありませんが、補助金の申請支援や経営改善計画の策定支援など、補助金に関連した業務を行う中小企業診断士は多いです。また認定支援機関(認定経営革新等支援機関)に登録され、その認定支援機関しかできない公的な支援を行う中小企業診断士もいます。


これらの業務は、基本的に企業との直接契約になりますが、企業から支払われる報酬のうち一定の割合(1/2、2/3など)が国や自治体から補助されるため、実質は国や自治体の予算から報酬が支払われるような形になっています。


 

中小企業診断士の仕事まとめ


中小企業診断士が窓口相談をしている様子

以上が公的業務に絞った中小企業診断士の仕事一覧です。細かくすればもっと多様な仕事があるのかもしれませんが、だいたいこのようなところだと思います。公的業務は業務で分類するとシンプルなんですが、様々な公的機関とその公的機関の実施する事業によって複雑な構造になっていることが多く、3年以上公的業務を受託していますがいまだによくわからないことが多くあります。支援機関の実施する事業も年度ごとに変わるものがあるので、支援機関の案内には常に気を配っておく必要があります。


ちなみに当社の診断士は上記全ての業務の経験があります。支援機関と連携した支援というものも非常に勉強になるところがあり、日々のコンサルティング業務に役立っています。


(※特に専門家派遣と相談員業務について追記しました。)

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